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社会

サイバーセキュリティへの意識向上

情報漏えいなどの被害を引き起こすサイバー犯罪に対し、サイバーセキュリティのプロフェッショナルとしてお客様をお守りするだけでなく、より安心・安全な社会を実現するための社会活動を積極的に行っています。

日本のサイバーセキュリティの裾野の拡大

当社の研究部門である「サイバー・グリッド・ジャパン」では、サイバー攻撃対策における先端技術の研究に加え、同部門に設置された専門組織が産学官の関係者と連携して、国内各地で情報セキュリティや情報モラルに関する啓発活動を推進しています。このような啓発活動がサイバー犯罪の防止につながるだけでなく、セキュリティ対策の意識が高まることで、サイバー攻撃から守られる社会づくりを目指しています。

サイバー・グリッド・ジャパン ロゴ

セキュリティ啓発活動の考え方

サイバー・グリッド・ジャパンでは、日本全体で安心・安全なICT(情報通信技術)利用が行えるよう、地域での組織的な活動を支援しています。各地域の学校機関において、当社の専門講師が講座を実施するなどの啓発活動を行うとともに、その知見を集約した冊子を発行し、各地域へ配布することで、啓発活動の範囲を広げる取り組みを進めています。

さらに、これらの取り組みを通じ、地域社会が自律的に市民のリテラシー向上に寄与していく体制・組織等の整備を積極的に支援する「Grid Encouragement」構想の推進を最終的な目的としています。

地域と利用者視点でどのような支援ができ、どのようなステップを踏めば、構想が実現できるのかを常に考え、活動テーマを策定しています。

「啓発活動」「調査・研究・発表」「Grid Encouragement」により、ICT利用環境のリテラシー、モラルの向上等、社会基盤の強化および啓発の推進

主な取り組み

当社は、特定の組織を守るだけでなく、一人ひとりがインターネットの使い方や機器の扱い方への意識を向上できるよう「サイバーセキュリティの全員参加」の実現に向けた啓発活動に取り組んでいます。その軸となるのが、産学連携や地域社会における啓発活動の取り組みです。2023年度は、講座やイベントの開催など約200件を超える啓発活動を行いました。

産学連携による人材育成

各地域の小学・中学・高校や大学などにおいて、授業の一環として情報関連の法律やモラル、情報セキュリティの講義と演習などを継続的に実施するとともに、地域連携における新しい学びの模索や開発に取り組みました。

その取り組みの一環として、静岡県浜松市立佐久間中学校においては、GIGAスクール構想により一人一台の端末が提供されるなか、2021年度の動画制作講座に続き、2023年度は約20名の全校生徒が地域の魅力発信や課題解決にICTをどのように役立てられるか「データサイエンス」という視点での講座で学びを支援しました。

目白大学では、地域のメディアの役割を研究しているメディア学部のゼミにおいて、ICTを地域の課題解決に活用する取り組みを、テーマを変えながら継続的に進めています。2023年度は、島根県吉賀町の六日市中学校の生徒とオンライン学習会を開催し、中学生が地域学習についての発表を行い、大学生がアドバイスや講評するとともに、中学生の発表をうけて大学生が中学生に伝えたい情報リテラシー講座を実施する試みを行いました。また日本女子大学では、情報科学系の学生を対象に2020年度から継続して情報セキュリティに関する講義を実施しています。

地域における啓発活動支援

県警察本部をはじめとした各地域のサイバーセキュリティ団体と協定を締結するなど、産学官で地域におけるセキュリティ教育や啓発活動を支援しています。

長崎県では、県警察本部のサイバー犯罪対策課と連携し、高校・高専生ボランティアを育成しています。さらに育成した高校・高専生が、自身の出身の小・中学校で啓発講座を行うなど、情報リテラシーの向上とともに自身の学びとなる取り組みとなっています。

2023年度は、奈良県警察本部とも連携し、高校・高専・専門学校生を対象にしたサイバーボランティア育成の取り組みを具体的に始動しています。

協定締結機関(2023年3月31日現在)

地域巡回啓発活動

島根県益田市・吉賀町・津和野町では、教育委員会と連携し、2016年度より小・中学校の各校および地域関係者に、情報モラルに関する講座を巡回実施しています。また、北海道名寄市消費生活センターでは、2013年度より、毎年、消費生活センターが市内小・中学校で春と秋に行う消費生活講座(情報分野)の巡回を担当するほか、市民や名寄警察署員のための情報セキュリティ、情報モラル、情報リテラシーに関する研修会を実施しています。

サイバーセキュリティに関する冊子の発行

世代・立場別にサイバー空間におけるデジタル活用能力をどの水準まで習得する必要があるかをまとめた冊子「情報リテラシー啓発のための羅針盤(コンパス)」を2019年に発行しており、2024年1月には、生成AIの活用を項目として新設し、情報活用編を第2.0版にバージョンアップしました。

また、次世代を担う小・中学生にサイバーセキュリティをより身近に感じてもらうことを目的とした「サイバーセキュリティ仕事ファイル1」を2022年2月に発行し、累計で20,000部(2024年3月時点)以上を配布しました。2023年11月には、2冊を1冊にまとめて用語集を追加した合本版を発行するなど、子どもから大人までサイバーセキュリティ分野の仕事に興味や関心を持ってもらえるよう継続的に取り組んでいます。

加えて、サイバー・グリッド・ジャパンの研究調査活動で得られた最新の知見をまとめた経営者向けレポート「CYBER GRID JOURNAL」を、2023年度は研究部門設立10周年の記念号として発刊しました。

「サイバーセキュリティ仕事ファイル」「情報リテラシー啓発のための羅針盤(コンパス)」「CYBER GRID JOURNAL」

PCマーク発行している冊子については以下をご参照ください。
サイバー・グリッド・ジャパン

子どもたちの主体的・対話的な学びにつながるゲーミフィケーションの導入

参加意識を高めるため「ゲーミフィケーション」を導入

近年、子どもたちの学習は、主体的・対話的な深い学びが重要なキーワードとなっており、私たちの啓発活動でも、そのような学びに即した講座に変えていく必要性を感じていました。

2023年の夏、静岡県三島市の夏休みイベントとして、ゲーミフィケーションによる学びを実践する機会を得て、小・中学生が能動的に楽しみながらサイバーセキュリティの理解を深められる取り組みを行いました。

自治体と県警のコラボレーションイベントを支援

今回ラックが支援したのは、自治体×警察×地元の市民ボランティア団体の連携によるセキュリティイベントで、セキュリティの仕事の役割を人狼ゲーム※1になぞらえたカードゲーム「セキュリティ専門家 人狼※2」を通じて、サイバーセキュリティを知ってもらおうという試みでした。子どもたちにゲームを楽しんでもらいながら、セキュリティの仕事がどういうものか感覚的に知ってもらえるように工夫がされています。このイベントでは、サイバー犯罪対策に携わる警察官からの説明やフリーディスカッションの場も設けられており、普段接点がなく、少し厳かなイメージがある警察関係者とも話ができたのは子どもたちの貴重な経験になったようです。

※1 村人陣営と人狼陣営に分かれて、自分の陣営の勝利を目指すゲーム
※2 特定非営利活動法人日本ネットワークセキュリティ協会が制作・販売

誰もが参加できるゲームを目指して

自治体と警察と連携した取り組みは大分県でも実施しており、セキュリティの啓発活動とともに、将来の職業の選択肢の一つとして子どもたちに認知してもらうことも狙いにしています。

ただ、今回のカードゲームは、学齢の低い子どもたちにとってはルールや役割の把握など、少々難易度が高く、より広く展開していくには課題が残りました。今後は内容をさらにシンプルにして、小学3~4年生ぐらいの年齢から簡単に参加できるようなゲーミフィケーションのコンテンツと機会を創出していきたいと考えています。

サイバー・グリッド・ジャパン ICT利用環境啓発支援室長 尾方 佑三子
サイバー・グリッド・ジャパン ICT利用環境啓発支援室長 尾方 佑三子

IT人材の創出・育成

サイバーセキュリティのリーディングカンパニーとしての知見を活かし、若手人材育成やセキュリティ団体の事務局運営等を通じて、これからのIT社会を担う優秀なIT人材の創出・育成に取り組んでいます。

次世代を担う高度IT人材育成

ITを取り巻く環境の変化は激しく、次世代のIT社会をリードできる優秀な人材の育成は喫緊の課題です。当社は、様々なセキュリティ団体を通じた育成支援に加え、当社独自の若手IT人材の発掘、育成に積極的に取り組んでいます。

若手人材育成支援
ITスーパーエンジニア・サポートプログラム「すごうで」

若者ならではの柔軟な発想を大切にし、才能の開花をバックアップする目的で、若手人材育成支援の取り組みをプログラム化したのが、2013年度から始めた「すごうで」です。

すごうで ロゴ

「すごうで」では、テーマにあわせて当社の担当エンジニアを選任し、試作ソフトウェアの検証やプログラミングのアドバイスなど専門家による技術的な支援を行っています。また、ハードウェア、ソフトウェア、書籍などの購入、国内外で行われる勉強会や競技会参加のための経費、プログラミング技術などのトレーニングなど、100万円を上限に目標の実現に必要な金銭的支援をしています。

当社は、2024年度の新支援対象者とあわせて、これまで6名と3チームの若者たちを支援しており、そのなかには支援後に新たな切り口でビジネスをスタートした方もいます。

2024年度の支援対象者(阿曽 祥大さん、清水 紘輔さん)
2024年度の支援対象者(阿曽 祥大さん、清水 紘輔さん)
すごうで支援年度、支援対象者、支援内容

PCマーク「すごうで」の詳細については以下をご参照ください。
ITスーパーエンジニア・サポートプログラム"すごうで"

セキュリティ団体の事務局・運営の支援

当社は、サイバーセキュリティへの意識向上と専門人材の育成に寄与するため、多くの企業・団体と連携・協調しながら、セキュリティ関連団体の事務局運営を支援しています。

加えて、NISC(内閣サイバーセキュリティセンター)やIPA(独立行政法人情報処理推進機構)などの官公庁関連組織との連携を通じて国の情報セキュリティ政策等に貢献するとともに、様々なセキュリティ関連団体の連携・協調により、情報セキュリティ分野の活性化に貢献し続けています。

運営支援団体

サイバーセキュリティのプロ集団で構成される「CSIJ」は、当社が幹事企業の一社として設立時から携わり、サイバーセキュリティ対策の水準向上に向けた支援活動を行っています。そのほか、地域団体が相互に協力し合う「Grafsec」においても、地域におけるサイバーセキュリティの啓発が進められるよう、その設立や運営に携わるなど、日本全国のセキュリティ団体を長年支援してきた経緯があります。

ダイバーシティへの取り組み

当社は、人種、性別、年齢などにかかわらず、多様な社員が活躍できる環境、組織づくりを進めています。女性活躍や障がい者の活躍推進、学歴によらない初任給制度の制定など、様々な取り組みに挑戦しています。

女性活躍推進

当社は、社員数の約2割を占める女性社員が活躍できる場を広げていくとともに、女性管理職比率の拡大に積極的に取り組んでいます。2019年には、女性活躍推進の取り組みが優良な企業に与えられる「えるぼし」認定を取得しました。えるぼし認定には、基準をどのくらい満たしているかで3段階の評価があり、当社は最高位となる三つ星の認定を取得しました。

「えるぼし」認定

女性が継続的に働ける環境づくりを目指し、家族の転勤など様々な事情により、遠隔地への居住移動が必要となった際には、テレワークのできるIT環境を活用し、各地域拠点などで勤務できるように取り組んでいます。2023年度における女性の育児休業からの復職率は100%を達成しており、男性の育児休業取得率については57.1%と前年度の37.5%から大きく上昇するとともに、全国平均の17.13%から大幅に上回る結果となりました。

また、当社の女性管理職比率(単体)は、2023年度で12.2%となっており、引き続き女性管理職比率の向上を目指して取り組んでいます。

※ 出所:厚生労働省「令和4年度雇用均等基本調査(事業所調査)」

女性社員比率・女性管理職比率(単体)
女性社員比率・女性管理職比率(単体)
男性育児休業取得率(単体)
男性育児休業取得率(単体)

障がい者活躍推進

当社は、多様な人材の活躍を推進する活動の一つとして、障がい者の雇用促進に積極的に取り組んでいます。当社では専門的な知識・スキルを持つ人材も多く在籍しており、技術部門のエンジニアや研究者、また間接部門のスタッフとして障がいのある社員が他の社員との垣根なく活躍しています。

研究部門の在籍者は、視覚障がいがありながらもセキュリティに関する技術者として長年活躍しており、「サイバーセキュリティに関する総務大臣奨励賞(2018年度)」を受賞した方もいます。採用スタッフとして長年にわたり活躍する在籍者は、社外活動においても自身の経験や知識を活かし、障がい者雇用や就労支援についての講演やワークショップを行っています。また、視覚障がいのある2名のマッサージ師による「リラックスルーム」を社内に開設し、社員の健康促進と障がい者雇用を両立させる取り組みも進めています。

当社は、障がい者の皆さんが能力を最大限に発揮できる環境を提供し、多様性を尊重する企業文化を築いています。障がい者活躍の推進は当社の重要な取り組みの一つであり、これからも積極的に取り組んでいきます。

新卒採用の推進

当社は、新卒採用における優秀な人材獲得に向けた取り組みとして、2017年4月に学歴別の初任給を廃止し、技術を持つ高専生なども大卒にあわせた初任給制度を導入しました。また、CTF(Capture The Flag)と呼ばれるインターネット上で実施するセキュリティテストで一定の成績を収めた入社希望者には、1次面接、2次面接を省き、一気に社長による最終面接で採用を決める画期的な手法を2017年度に導入し、これまで16名が入社しています。さらに第二新卒者も2019年度から受け入れを開始し、累計で20名を採用するなど、多様な人材獲得に取り組んでいます。

このような取り組みに加え、新型コロナウイルス感染症の拡大を背景に、2021年度以降、インターンシップや面接、内定式や入社式などにおいて対面とオンラインによるハイブリッド型の採用活動を推進しています。2023年度においても十分なコミュニケーションをとることに加え、様々なイベントを通じて当社の認知度向上や理解向上に取り組みました。

2023年度の主な取り組み

男性の育児休業取得率の増加への取り組み

男性の育児休業取得率の増加への取り組み

大木:2023年4月からの育児・介護休業法の改正もあり、男性の育児休業の取得率増加を目指して、実際に取得した男性にヒアリングして事例集を作成し、関連する手引書とあわせて社内共有するなどの取り組みを行いました。比較的、取得しやすい社風であることも背景にあったと思いますが、57.1%と目標を超える育児休業取得率を達成することができました。

妻の資格取得の応援も兼ねて育児休業を取得

篠原:2人目が生まれたあと、妻が育児休業の機会に資格取得のため勉強に集中したいという要望があり、私も育児休業を取得しました。また、自身が管理職に近いポジションであったことから、育児休業を取りやすい環境にしていきたいという思いもありました。部署内での協力意識が高く、メンバーで仕事の調整について話し合い、スムーズに休業に入ることができました。

大木:篠原さんのように技術部門の人はプロジェクトが終わるタイミングで休業に入りやすい傾向にありますが、男性の育児休業取得率向上の課題の一つは、業務によって取得のしやすさが異なる点です。特にスタッフ職は月次で仕事をしているので、育児休業を取得しにくいという声が上がっています。

男性の育児休業取得率70%を目指して

篠原:私は、育児休業を取得する何ヵ月も前から、部署内で話を進めていました。取得期間は1ヵ月と決して長くはありませんでしたが、家族と過ごす時間の大切さや育児に関わる意義を再認識できたのは本当に良かったと思います。

大木:生まれてすぐでなくとも、また短期間でも育児休業を取得できますので、人事側でも社内への積極的な情報発信を含め、2026年度までに男性の育児休業取得率70%を目指して取得率を向上させる取り組みを進めていきたいと思います。

人事部 人事サービス室 人事サービスグループ 大木 恵子、技術統括部 アドバンストプロフェッショナルユニット デジタルペンテスト部長 篠原 崇宏
人事部 人事サービス室 人事サービスグループ 大木 恵子
技術統括部 アドバンストプロフェッショナルユニット デジタルペンテスト部長 篠原 崇宏

働き方改革と健康経営

ワーク・ライフ・バランスをとりつつ効率的かつ柔軟に働くことができる職場環境を目指し、経営層を含め組織全体が社員の声に耳を傾けながら、テレワークの推進や福利厚生の拡充に取り組むとともに、健康経営を推進しています。

「働き方改革」の捉え方と活動指針

社員にとって働きがいがあり、成長し続ける会社となるため、当社は2017年度より、働き方改革のコンサルティング会社である株式会社クロスリバーの支援のもと、働き方改革の推進に積極的に取り組んでいます。社員一人ひとりが変化を楽しみ、働き方改革を実践しながら成長できる環境を整備することに主眼を置いており、ワーク・ライフ・バランスを尊重する柔軟な取り組みとしています。その取り組みの一環として、「働き方改革 心がけ10か条」を制定し、経営層・社員が具体的な行動をもって、働き方改革を実践しています。

また、ライフステージに沿ったワーク・ライフ・バランスの実現や効率的な勤務のため、時間や場所を有効に活用し、多様な働き方ができるテレワーク勤務を推進しています。在宅だけでなく、サテライトオフィスを整備することで、柔軟に働くことができる環境づくりに取り組んでいます。

働き方改革 心がけ10か条

「働き方改革」の取り組み

2023年度は、これまでの公募制で一般社員を中心としたボトムアップ型の推進体制のワーキンググループスタイルから、選任制で主管部門を中軸とした推進体制のプロジェクトスタイルに変更しました。実効性重視の推進体制に移行したことにより、これまでの推進体制では解決が困難だった重要課題の「管理職コンピテンシー」と「ジョブローテーション」の解決に向けた取り組みを加速させました。

PCマーク働き方改革の取り組みについては以下をご参照ください。
「働き方改革」に向けたラックの取り組み

「働き方改革ワーキンググループ」の活動と成果

2023年度は、「管理職コンピテンシー」と「ジョブローテーション」の2つのプロジェクトに絞って活動しました。

「管理職コンピテンシー」では、マネジメントのスキルアップを目的に、コンピテンシー項目の整理や中長期評価指標をテーマとしての見直しを行い『ラック管理職モデル』を新設しました。

「ジョブローテーション」においては、ローテーションを通じ多様な経験をすることにより、社員一人ひとりの価値を向上させることを目的とした制度の検討を進めました。最終的には、ローテーション指針(5年を上限とし、顧客・業務・役割・職種のいずれかの異動を推奨する指針)を策定しました。

経営層とのコミュニケーションの場の創出

2022年度に引き続き、取締役会長、代表取締役社長が現場を訪問し、ランチを食べながら社員とコミュニケーションをとる「訪問ランチ」を実施しました。

経営層とのコミュニケーションの場の創出

経営のトップが会社の目指すべき方向を伝えるとともに、現場の悩みにも耳を傾けることで経営の改善を図っていくこの取り組みは、訪問先の現場社員の満足度が高く、今後も継続的に取り組んでいきます。

健康経営の推進

当社は、2020年度に従業員の健康保持増進を目的として「健康管理室」を設置し、健康経営を戦略的に進め、2022年4月に「健康企業宣言」を社内外に発信しました。

従業員が心身ともに健康で能力を最大限に発揮できるよう「イキイキと気持ちよく働ける環境づくり」に取り組むとともに、近年重要視されている健康寿命の延伸に努めています。このような活動が評価され、2023年3月、経済産業省が創設した制度である「健康経営優良法人」の認定を受けています。今後も働きやすい環境づくりに取り組み、企業の成長につなげられるよう努めます。

健康優良企業

PCマーク「健康経営」については以下をご参照ください。
健康経営

管理職コンピテンシーの浸透とローテーション制度

管理職コンピテンシーの浸透を目指して

鉄石:当社は、優れた成果を出す管理職の行動特性を管理職コンピテンシーとして年次評価項目の一つに加えていましたが、あまり浸透しませんでした。検証の結果わかったのは、中長期に及ぶ行動に対する成果が単年度で評価されることに違和感があり、短期的に成果が出やすいものを優先する傾向がみられたためでした。その課題を踏まえ、単年度ごとの目標とは別に、行動特性の発揮度合を管理職への登用・昇格基準として制度設計をし直しました。これにより、管理職が管轄する部署やチームの業務を中長期目線で考え、ひいては当社の求める管理職像に近づくものと期待しています。このような意義を込めて、管理職コンピテンシー改め、「ラック管理職モデル」と再定義しました。ラック管理職モデルが浸透し、今後も社員一人ひとりがより満足して働ける環境となるよう取り組んでいきます。

社員の自己実現支援とスキルアップを狙いとするローテーション制度

阿久津:当社の社員は技術職が多く、また他の部署でも専門職の要素が強いため、ローテーションで回すのは難しい側面がありました。一方、異動せず長期にわたって同じ業務をしていると、年齢を重ねて40~50歳となればスキルが固定化し、アウトプットが限られてしまいます。社員の自己実現とスキルアップには、自身のキャリアプランにあわせ、他部署ないしは同じ部署内でも業務をローテーションすることが重要だと考えました。これらの課題を踏まえ、2023年度は社員一人ひとりが中長期的な目線でキャリアプランにつなげられるよう、5年を上限に異動することとし、管理職や総合職を除く全社員を対象とするローテーション制度の指針を定めました。

制度の運用フェーズに移っていきますが、社員の自己実現を支援し、ひいては会社の価値向上につなげられるよう取り組みます。

人事部 人事戦略室 人事戦略グループ 鉄石 隼平、阿久津 真美
人事部 人事戦略室 人事戦略グループ 鉄石 隼平、阿久津 真美

人材育成

社員とともに成長し続けるために、常にチャレンジする姿勢を尊重し、多様な社員が最大限活躍できるよう取り組んでいます。

新入社員研修の推進

当社は新入社員のときから文系出身者や初学者でも問題なくスキルアップができるよう、一般的なマナー研修のほかに、ITに関する基礎スキルを体系的に学ぶ研修を実施しています。また、専門研修やOJTによる実践研修(6ヵ月)に加え、フォローアップ研修などにより、自律した人材となるための必要な社内教育を実施しています。

2023年度においては、グループ会社間の相乗効果を図ることや交流を深めることで研修効果が高まることを目指し、グループ会社の株式会社ラックサイバーリンク、KDDIデジタルセキュリティ株式会社とともに3社合同で実施しました。

新型コロナウイルス感染症の拡大を背景に、2020年度以降はオンライン研修が高い比率となっていましたが、2023年度は集合研修の比率をコロナ発生前の7割の水準まで戻し、学習効果向上とともに同期社員同士のコミュニケーション活性化を図りました。一方で、配属後はテレワークを主体とした働き方となるため、オンラインでの研修を一部継続し、オンライン上の立ち居振る舞いやマナーを学ぶ機会としました。

研修の様子
新入社員研修:基礎研修(2ヵ月)→専門研修(ラック固有スキル)、OJT実践研修(6ヵ月)→ビジネス力、人間力強化(フォローアップ研修)

人材育成の推進

次世代の人材を育てることを目的に、組織横断型の専門組織「ラックユニバーシティ」を設立しており、社員が社員を育てるという意義に重きを置き、社員講師が社内研修を行う取り組みを推進しています。2023年度はこれを体系化し、優れた専門知識やスキルを有する社員を研修プログラムの講師(インストラクター)として認定する「ラックユニバーシティ講師認定制度」を制定しました。役職定年後に社員の師範代として後進の育成を行うマスターインストラクター、高い技術の伝承などを担うトップガンインストラクターなど、専門スキルを備えた社員を社内講師として認定し、社員が社員を育てる企業文化の醸成を目指しています。

人材育成体系の整備拡充

当社は、これまで必要に応じて実務的な研修を体系的に整理してきましたが、2021年度に、新たに設置したラックユニバーシティ、中期経営計画および新人事制度の運用開始に伴い、これらの内容と連動した人材育成体系の体制整備や見直しを行いました。育成したい人材を明確に示した新しいフレームワークを策定し、各々の社員が今後のキャリア形成や部下育成のために必要な研修を選ぶ一助として活用できるよう働きかけています。

社員が主体的に学ぶ機会の創出

当社では働き方改革の一環として、2018年度よりスキルアップの機会創出を目的に様々なトレーニングを行う「トレ☆フェス」を実施しています。

普段の業務では受講しないものの、共通したビジネススキルや社員が受けたい研修を用意することで、受講者の教養や仕事の幅を広げることを狙いとした全社員対象の研修集中月間です。

「トレ☆フェス」を通して、社員一人ひとりが学ぶことの重要性を理解し、社員自らが学びの場を創り、学ぶ環境に飛び込む風土を醸成するラックユニバーシティの活動の一つとしており、2023年度は社内講師を中心に17講座実施いたしました。

トレ☆フェス2023年度実施講座

ラックユニバーシティ講師認定制度を制定

社内教育の風土の醸成を目指して新制度を制定

社員が社員を育てる社内風土の醸成を促進するため、優れた専門知識やスキルを有する社員を講師として認定する「ラックユニバーシティ講師認定制度」を制定しました。この認定制度では、講師をマスターインストラクター、トップガンインストラクター、インストラクター、アソシエイトインストラクターの4つに切り分けをしています。

これら4つのうち新たに設定したのは、2024年4月から運用を開始したマスターインストラクターで、優れたスキルを持つ管理職が部門長としての役職定年を迎えたあと、引き続き後進の育成に力を発揮してもらうことを狙っています。

管理職の立場でより教育に専念

他の3つのインストラクターは、現場に携わる社員が自身のスキルを他の社員に伝え、1講座あたり、もしくは時間によって講師料が支給される仕組みになっています。これに対し、マスターインストラクターは管理職としての立場が継続し、元々仕事をしている部署での業務が8割、残りの2割を講師業として仕事をしてもらうところに違いがあります。業務の一環として決まった時間を教育に充てることができ、これまで配下の人材を育成していた管理職の方が、より高いモチベーションで様々な部署の後進育成に専念できることに特徴があると考えています。

当社の社員に合った研修が可能に

外部に依頼して研修を行う講座は一般的な内容になりがちで、当社の社員には合わないこともあります。そこで、社内のエキスパートたちが研修の講師となり、研修の内製化を進めることで、当社独自の価値観に即した、内容の濃い研修プログラムを作成できるのではないかと思っています。

今後は、エキスパートたちの得意領域を活かした多様な研修プログラムを提供し、人材育成体制を拡充していきたいと思います。

人事部 人材育成室長 藤田 正紀
人事部 人材育成室長 藤田 正紀

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