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2013年から始まったラックの社会貢献事業のひとつ、ITスーパーエンジニア・サポートプログラム"すごうで"は、2020年と2021年の2年間に渡り、木更津工業高等専門学校の原田そらさんを支援しました。
原田さんは2003年に千葉県で生まれ、地域の課題を解決しようと努力する人の姿を幼いころから見て育ちました。特に2019年は台風15号により千葉県は大きな被害を受け、被災した家屋をさらに台風19号が襲う、災害の多い年でした。原田さんは復旧のボランティアに参加する中で、被災地の現状だけでなく、少子高齢化・過疎化などのさまざまな地域課題について考えるようになったといいます。
その時、目にしたのがこの"すごうで"2020年度の募集でした。このプログラムの支援を受ければ、災害からの復興だけでなく、自分の住む地域の社会課題の解決に取り組むチャンスが得られるのではないかと考え、学業の傍ら計画をまとめ上げたということです。
原田さんが提案し、採択されたプロジェクトのタイトルは「GamifyAgri(ゲーミファイアグリ)」です。GamifyAgriは、Gamification(ゲーム化)とAgriculture(農業)の造語です。
農業における日々の活動を、「努力を実らせ、味わう」体験型レジャーとして多くの人へ届けることが最初の目的です。さらに、アプリを通じて手軽に農業や地域へ参加が可能な場を提供することで、担い手不足や獣害など農業と地域が持つ社会課題を解決すると同時に、農業体験から出会いや感動を生み「農業を通じて、全ての人が笑顔になる」世界の実現を目指しました。
ラックでは、原田さんのプロジェクトを支援するため、2名のメンターを付けました。1人はビジネスモデル面での助言を、もう1人はアプリ開発のサポートを行います。最初に取り組んだのは、GamifyAgriの利用者のペルソナを決める作業です。ラックから協力してもらう社員70名を募集し、ライフスタイルや農業に関する考え方など、数十項目のアンケートを実施しました。さらにその中から36名を選んで、TV会議によるインタビューを実施しました。
アンケートとインタビューの結果をもとにペルソナを定義した後は、ペルソナが満足するサービスとは何かについて、メンターと議論を重ね、少しずつ形にしていきました。こうして出来上がったビジネスモデルを手に、原田さんはいくつかのビジネスコンテストやコミュニティに参加し、さらにブラッシュアップを重ねました。その過程では、以下のような成果を得ています。
- 第4回日経ソーシャルビジネスコンテスト ファイナリスト選出
- TOKYO STARTUP GATEWAY2020 ファイナリスト、優秀賞受賞
- MAKERS UNIVERSITY U-18 6期生
プロジェクトの次のステップは、ビジネスモデルが有効かどうかを実証する農業体験会の実施でした。農業体験の舞台は、原田さんがよく知る「安西農園」の畑です。安西農園の安西淳さんは、館山市でとうもろこしやレタスを中心に栽培しています。さらに、直売所の経営や農業体験の開催など新しい農業のあり方に挑戦しており、これまでも原田さんはたくさんの刺激を受けたと言います。
農業体験の参加者は、ラック社員で結成された「GamifyAgri応援団」を中心に社内外から20名ほど。小さなお子さん連れや、友人同士など普段会うことのないにぎやかな顔ぶれです。
1回目の実証は2021年3月から7月にかけて行われた「トウモロコシ"味来"の栽培体験」です。「種まき」「定植」「追肥」「電柵設置」「収穫」と、トウモロコシ栽培の一連の流れを体験できました。
2回目の実証は2021年10月から2022年1月に行われた「"かんべレタス"の栽培体験」です。こちらも「種まき」「定植」「ビニールハウス組み立て」「収穫」と、ごく小さな種から大玉のレタスが実るまでの過程を、参加者みんなで体験できました。
2シーズンの体験を終えて、参加者の満足度は極めて高く、このプロジェクトの可能性を十分感じられました。
一方、GamifiAgriのコンセプトを実現するプラットフォームには、当社のメンターと学校の友人の協力を得てアプリのプロトタイプの作成に着手でき、私たちはこちらにも大きな期待を寄せています。
ここまでで、原田さんが手がけたGamifyAgriに対する「すごうで」による支援はいったん終了となります。これからの原田さんが、GamifyAgriをどう育て、どのように実を結ばせていくのか、私たちも見守っていきたいと考えています。
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