LAC WATCH

セキュリティとITの最新情報

RSS

株式会社ラック

メールマガジン

サイバーセキュリティや
ラックに関する情報をお届けします。

テクニカルレポート | 

企業経営者向けレポートの最新号『CYBER GRID JOURNAL Vol.14』-ウクライナ危機に見るサイバー戦の光と闇-が8月公開

ラックの研究開発部門である「サイバー・グリッド・ジャパン」のナショナルセキュリティ研究所は、8月上旬に最新号「CYBER GRID JOURNAL Vol.14」を公開する予定です。

公開までまだ少し時間がありますが、現在の世界情勢においてタイムリーな内容に焦点を当て、いち早く見どころを紹介します。ラックの精鋭が執筆するCYBER GRID JOURNALの魅力が少しでも伝わればうれしいです。

ウクライナ危機に見るサイバー戦の光と闇

2022年2月24日、ロシアがウクライナに軍事侵攻したというニュースが世界を駆け巡りました。多くの研究者が「ロシアのウクライナ侵攻にはない」と予測していた矢先の出来事に、われわれは驚愕しました。ロシアは「謎に包まれた謎の国」と評されますが、「何故ロシアはウクライナに侵攻したのか?」「世界屈指のサイバー戦能力を有するといわれるロシアによるサイバー攻撃はどうだったのか?」など関心は尽きません。

ウクライナ危機におけるサイバー攻撃には、どのような背景があるのでしょう。攻撃の意図や能力に関するポリティカルなアトリビューションを駆使し、サイバー戦の光と闇に迫ります。

国際電気通信連合(ITU:International Telecommunication Union)の調査では、インターネットはすでに世界の65%の人が利用しているといわれています。それに伴い、サイバー空間における活動は、一般的な情報の収集や発信にとどまらず、犯罪者グループによる金銭詐取、国家が背景にあると思われる情報の詐取、輿論を誘導するための偽情報の拡散、さらには重要インフラに対する攻撃など多様化しています。

ウクライナ危機で発生したサイバー攻撃を詳細に観測すると、ロシアからのサイバー攻撃は多方面から執拗に繰り返され、「失敗した」と報じられたサイバー攻撃は、実はロシアにとって「相応の戦果」をあげているのが実情です。さらに、分析を進めると、サイバー戦の真の実行者としての米国の存在、SNS等で拡散された情報の本質、そして人間の認知領域への影響などが明らかになりつつあります。この題材について、ラックのアナリストが独自に分析を加えており、それがVol.14の大きな見どころとなっています。

もう1つのテーマは「情報戦」です。終わりが見えなくなりつつあるウクライナ危機ですが、その情報戦の真の勝者が誰なのかは、今後を展望する上でも気になるところです。米国やウクライナが情報戦の勝者のように論じられていますが、実態はどうなのでしょうか?

たしかに、3月のキーウ攻防戦における情報戦では、ウクライナが米国の情報支援を得て終始優勢でした。また、米国はロシアの偽情報を論破して、ロシアのウクライナ侵攻の意図を正確に見積もり、西側陣営を対ロシア経済制裁に誘導する世論戦を展開しました。

しかし、東部ウクライナでの攻防戦でも「ウクライナが情報戦を展開して有利に戦えるか?」は不透明です。戦争被害の拡大、エネルギー・穀物価格の世界的高騰などによっては米国への逆風が吹く可能性もあります。米英等の報道が席巻するなか、ウクライナ勝利の希望的観測とロシアに対する過小評価は禁物です。

さて、今後のウクライナ、ロシア、そして世界の近未来について、外部の専門家はどのように見ているでしょう。Vol.14では、慶應義塾大学総合政策学部の廣瀬陽子教授が予測します。

ウクライナでは、ゼレンスキー政権が継続する可能性が高いものの、戦闘の継続やそれに伴う国土の復興が今後の課題になることが見込まれます。また、ロシアはウクライナ東部2州の制圧を最低ラインとして、戦争は長期化するとの指摘も出てきています。「ポスト・プーチン」も、同じような考えを持つ第2、第3のプーチンが選ばれてしまえば、ロシア政治が大きく変化する可能性は小さいでしょう。

世界ではエネルギー問題と食糧危機によりアフリカ・中東等が不安定化し、中国はロシアをジュニアパートナーとしつつ、より強い立場を確立しようと画策しています。ユーラシア諸国は欧米諸国に接近しつつも、中国に配慮したバランス外交を展開するのではないか、など廣瀬教授が独自に予測します。

Vol.14に登場するもう1人の外部の専門家は、防衛研究所 主任研究官 八塚氏です。中国とロシアは、自国やその影響圏に米国の影響力等が流入することを防ぐために、八塚氏はサイバー戦における協力関係を段階的に発展させているとの見解を示しています。

ウクライナ危機では、中国は中立的な立場を維持しつつも、欧米諸国によるサイバー攻撃や情報戦への警戒の念を露わにし、ウクライナを支援する欧米諸国に対するネガティブ・キャンペーンを実施すると指摘します。結果として、ロシア支援に回っているとの見解です。中国とロシアは、いくつかの制約事項も抱えながら、反米統一戦線を強固に、サイバー協力を今後も発展させていくだろうと予測しています。

CYBER GRID JOURNAL Vol.14は、以下の内容でウクライナ危機という地政学的な問題を扱います。8月の公開時にはまたお知らせしますので、ぜひご覧ください。

CYBER GRID JOURNAL Vol.14 目次

  • 巻頭言
  • 特集1
    「ウクイナ危機に見るサイバー戦の光と闇」
    佐藤 雅俊
  • 特集2
    「ウクライナ危機における情報戦と真の勝者は!」
    上田 篤盛
  • 寄稿1
    「ロシアによるウクライナ侵攻〜今後の展望」
    慶應義塾大学総合政策学部 廣瀬 陽子 教授
  • 寄稿2
    「中国とロシアのサイバー協力とウクライナ危機」
    防衛省防衛研究所 八塚 正晃 主任研究官
  • 巻末あとがき

この記事は役に立ちましたか?

はい いいえ