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新たな技術が様々な業界に影響を与える中、生成AIがますます注目を浴びています。ラック社内では、生成AIがもたらす変化に適応するため、GAI CoE(Generative AI Center of Excellence:生成AIに関連して、社内の人材やノウハウを組織横断的に集約し活動する組織)を立ち上げました。
本記事では、GAI CoEの取り組みの1つとして開催された、社内イベント「GAI CoE主催社内イベント:生成AIはプログラミング・システム開発をどう変えていくのか?」のレポートをお届けします。
当日の多くの講演の中から、ここでは次の3つを紹介します。
- 1. 生成AIとコード生成に関する遠藤諭氏の講演
- 2. パネルディスカッションで挙がった様々な意見
- 3. GAI CoEの過去と未来-高橋亮によるプレゼンテーション
生成AI、ChatGPT、コード生成に関する遠藤諭氏の講演
今回、ゲスト講師として角川アスキー総合研究所主席研究員の遠藤諭氏に講演をいただきました。遠藤氏はプログラマーを経て編集者になり、様々なエッセイや論文を執筆しています。
ASCII.jpでの連載、「遠藤諭のプログラミング+日記」を読んだことがある方も多いのではないでしょうか。今回は、これまでAIがどのように進化してきたか、どのような事例が出てきているのか、実際のコード生成のトピックについてお話をしてもらいました。
Advanced Data Analysisがコード生成、実行、検証までやってくれる
遠藤氏は講演で、ChatGPTの機能「Advanced Data Analysis(旧Code Interpreter)」を用いた面白い実験について紹介しました。国勢調査のデータと国土地理院の地理データ、ディスカウントストア大手のドン・キホーテの企業サイトから全国店舗一覧を読み込ませ、「ドン・キホーテの事業の弱い地域と強い地域をレポートせよ」と指示し、パワーポイントの資料を作成してみたそうです。
調査やデータを基にグラフを作成するという手間のかかる作業も、生成AIが実施してくれます。さらに、ChatGPTが調査の所見として「まとめ」まで書き出してくれるとのこと。正確性の面ではまだ問題があるそうですが、ビジネス活用における可能性は広がります。
パネルディスカッションで挙がった様々な意見
登壇者が集まったパネルディスカッションも注目の内容でした。モデレータをラックのCTO(最高技術責任者)である倉持が務め、パネリストとして遠藤氏、ラックから西本社長、ザナシル・アマル、森山伸一、清水朗、眞田成康が参加しました。
パネルディスカッションの冒頭、倉持が西本にイベント全体についてコメントを求めたところ、「今日は想像力を全開にして話を聞いていました」と感想を述べます。倉持はChatGPTの取り組みについて「以前AIといえば、AIそのものの開発や技術研究、データサイエンティストの育成などに注力していました。しかし、ChatGPTの登場以降は、細かい理屈はいったん横に置いてでも、自分たちの仕事を変えてみようという考え方に変わりました」と振り返ります。
一方で、倉持はChatGPTについて「話題にはなりつつも、想像するほど使われていないのが現実ではないか」という切り口から、登壇者に問い掛けます。
──プログラミングやシステム開発における生成AIの存在意義とは何か。
- 遠藤
- (有料版の)GPT-4を使わないと永遠にChatGPTを理解できないのですが、ChatGPTの特徴はとにかく解説してくれるということです。根拠を問うとしっかりと説明してくれるので、実はとても「教育的」です。プログラマーのスキル向上と均質化が可能になると感じます。「ChatGPTにやってもらってプログラマーはサボる」といったイメージがありますが、実は逆かもしれません。
- 西本
- ChatGPTがプログラミングコードを生成するAdvanced Data Analysisを私が使い始めたのは、遠藤さんの記事がきっかけでした。今日の話を伺って感じたのは、今後は自分たちが必要なプログラムを書くという領域と、ChatGPTに勝手にコードを書かせて、そこから得たデータを使って自動的に次の処理をこなすという領域の2つに分かれていくのではないかということです。とんでもないことになりましたね。ただし、基幹システムは、また違う世界だと思います。
- 森山
- 顧客側はまだ生成AIで作成したプログラムを使う、使わないといった議論にまでたどり着いていない印象があります。一方で、われわれがどんなメリットを享受できるのかを体験から学び、それを顧客に還元するといった考え方が必要だと感じます。そうすることで、エンジニアが顧客に生成AIを用いたサービスを上手に提供できるようになるのかもしれません。
- ザナシル
- 設計は頭の中にあるけれど、それを実現するために知らないプログラミング言語を使いこなさなくてはいけないといった場面があります。そんな時に、ChatGPTにヒントをもらいながら進めると、ゼロから作るよりもずっと短い時間で実施できます。
さらに、清水は「以前は人間がプログラムを自分の手のひらに載せて使っているという状況でした。しかし、生成AIが広がると、人間の手から離れた世界でプログラムが使われるようになるのかもしれない」と指摘します。その状況について「怖いと同時に、本当に生成AIが力を発揮することになる」と述べています。
また眞田は、プログラミング能力を追加で獲得するためのリスキリングにおいて、生成AIの利用が効果を発揮するとしています。
- 眞田
- プログラムの基本を理解した人が、生成AIでPythonなど新たな言語を習得する場合に、非常に早く実現できると感じています。
GAI CoEの過去と未来-高橋亮によるプレゼン
ラック社内の取り組みはどのような状況なのでしょう。冒頭に説明したGAI CoE事務局の高橋が、4月に立ち上げたGAI CoEの経過と、今後の活動について説明しました。
その中から、気になる社内ツール「ChottoChat v2.1」を紹介します。ChottoChatは、ChatGPTを体験できるツールとしてラックのエンジニアである庄司が開発し、5月にリリースしたものです。
バージョンアップ版の「ChottoChat v2.1」では、「ちょっとChatGPTを試す」というコンセプトから「ちょっと仕事をやってもらう」ツールへと進化しました。今後は、社内で活用しているMicrosoft Office365と連携される予定です。
例えばChottoChat v2.1で得られた内容を、Microsoft Teamsに直接投稿することも可能にするなど、シームレスにAI活用ができることを目指しています。
さいごに
今回のイベントで様々な活用事例やアイデアに触れ、視野が広がったとの感想が届きました。ラックは今後、システム開発の分野で生成AIを積極的に使っていくために取り組みを続けていきます。
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