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これからの旭川での産学官連携を考える~「TO THE NEXT STANDARD FROM ASAHIKAWA」イベントレポート

新規事業開発部では、地域ならではの課題をデジタル技術の活用で解決し、地域の暮らしを守る取り組みをしています。今回は旭川市のICTパークと共催した、これからの旭川での産学官連携をテーマにしたセミナー「TO THE NEXT STANDARD FROM ASAHIKAWA ーIT(デジタル)で旭川が変わるー」の様子をご紹介します。

第一部のトークセッションは新規事業開発部の今田が、第二部のデジタルペンテスト部の松田和樹による特別講演については、デジタルペンテスト部の田端あやのがレポートします。

「TO THE NEXT STANDARD FROM ASAHIKAWA ーIT(デジタル)で旭川が変わるー」会場の様子

イベント開催の背景

旭川市のテレワーク施設「Worcu-pet(ワークーぺ)」のトライアル期間が終了し、いよいよグランドオープンを迎えました。
そこで、オープンを記念したイベントができないかと考えたところ、ITを通して旭川がどう変わっていく必要があるのかをテーマに旭川市内のみなさんと語り合い、ICTパークやコクゲキというeスポーツの拠点を活かしたイベントにしてはどうかという案が部内で出ました。

そのときふと思い出したのが、昨年の10月のことです。旭川市内にある学校や関係機関に、Worcu-petの名称を募集する依頼に伺いました。学校や関係機関の方と対話する中で、ある先生が「情報工学系の情報や、その学びを活かせる企業の情報があまり入ってこない。学生たちの、もっと知りたい!という欲求は感じてはいるものの、なかなか企業のみなさんの話を聞く機会が少ない」というお話を耳にしていました。また、市の方とお話しした中でも、若い世代が街から離れて行ってしまう現状はあるとも聞きました。産学連携した旭川の将来像というテーマでのイベントが有効になるかもしれないと思い、思い切って開催することにしました。

さて、どんな人たちがイベントに登壇したのかご紹介します。まず第一部のトークセッションには、旭川高専からシステム制御情報工学科教授の佐竹利文氏。そして、一般社団法人大雪カムイミンタラDMOから専務の嘉屋昌幸氏にご協力いただき、ラックからは部長の又江原が登壇しました。第二部のスペシャルセミナーでは、6月に書籍『オンラインゲームセキュリティ』を上梓した、デジタルペンテスト部 松田和樹が、オンラインゲームセキュリティにおける「不正」とその対策についてお話ししました。

第一部:トークセッション 旭川地域の「産官学連携のこれから」

第一部は、「旭川市での産官学連携活動の今までとこれから」というテーマでのトークセッションです。人口が減りつつあるどこの地域も抱えているであろう、「なぜ若い世代が離れていってしまうのか?」という投げかけから対話から始まりました。

トークセッション 旭川地域の「産官学連携のこれから」の様子

登壇者全員が共通する認識は、「(情報・工学系の)学生たちの受け皿が足りていない」という内容でした。受け皿というのは、大学や地元の企業を指します。授業を通して毎日生徒と対話している佐竹先生に、「学生の皆さんが感じている旭川とは?」と投げかけたところ、「学生は地域のために働くという志やモチベーションを持っていると感じる」ということでした。

そういえば、旭川高専の学生が、地域課題解決のための実証実験を企業や自治体にプレゼンするベースドラーニングに参加していました。「高専生ならでは・旭川ならでは」の地域課題を、いかに「情報・工学」の技術で解決するかを実証実験しながら、事業化までの構想をプレゼンする姿を思い出しました。しかし、このような志やアイデア、知識・技術を持った若者も、地域の受け皿がなければ外部へ流出してしまいます。素晴らしい人材を地域で育て循環させるためには、やはり受け皿として大学などの学校機関や地域の企業が増え、若い世代にとって地域で働くことが魅力となるような変化が大切なのだと感じました。

また、Worcu-petがあるICTパークという立地を生かして「情報」というものを身近にするために、この場所からどんな発信が求められているか、に関する対話も行いました。嘉屋氏からの言葉で印象的だったのが、「安心安全なまちづくりのために、若い世代だけでなく、旭川にいるさまざまな世代も、ITを身近に感じることができるような発信も必要では」との意見でした。確かに、ITというと高齢者の方は敬遠しがちです。

しかし、時代が進むにつれてITは生活に深く入りこむことが予想されています。又江原から「安易に道外の企業が単発で、IT教室をやりますと言っても、きっと参加者は来ない。しかし自分の孫や子どもから教えてもらうなら、やってみようとなるはず。ITが多世代に根付くためには、身近な若い世代との交流が必要なのでは」という意見に、登壇者の皆さんからも賛同いただきました。

第二部:特別講演「オンラインゲームセキュリティゲームにおける「不正」とその対策」

さて、第二部の特別講演は、デジタルペンテスト部の田端がレポートいたします。

本イベントの大きなテーマである「IT(デジタル)」の中で、第二部ではゲームをテーマに特別講演をしました。昨今、スマートフォンの普及に合わせて、ソーシャルゲームのユーザーも大幅に増加しています。eスポーツも盛り上がっており、ゲーム市場に対する注目が集まっています。

さらに詳しく知るにはこちら

チート対策ペネトレーションテスト

そんなゲーム市場に対してラックは、ゲームのセキュリティを守る、「チート対策ペネトレーションテスト」サービスの提供や、ゲームセキュリティに関する啓発講演を多数実施しています。今回もそのようなゲームセキュリティの知見を活かし、ゲームを取り巻く「不正」とその対策に着目した、オンラインゲーム固有の問題である「チート」に関わる話をしました。

さらに詳しく知るにはこちら

チート対策ペネトレーションテスト

「チート」についての解説は下記記事に掲載しております。

特別講演「オンラインゲームセキュリティゲームにおける「不正」とその対策」の様子

特別講演は、ゲームセキュリティの考察から不正の実態と対策について解説した書籍、『オンラインゲームセキュリティ」の著者である松田が担当しました。

ラック社員による、書籍『オンラインゲームセキュリティ』が発刊

講演は、ゲームに存在するさまざまな「不正」にまつわる事例や解説からスタートしました。家庭用ゲーム不正の例として、ゲーム改造(チート)、マジコン、CFW(カスタムファームウェア)の事例をご紹介。技術的概要や、どんな問題が起きてしまったのか、社会問題になった事例などをお話ししました。

ラックの松田

オンラインゲームの不正では、「チート」に着目してお話ししました。チートの基本概要から、なぜチートはなくならないのか考えられる理由、技術的解説としてパラメータ偽造の仕組みや、位置情報ゲームのプレイ履歴から情報偽装の見破り方について、興味深く聞いていただきました。また、オンラインゲームを構成するネットワーク構成の形態(P2P型、クライアント/サーバー型、クラウドゲーム)ごとの起こりえる可能性のある不正行為や、対策についても解説しました。対策方法はゲーム開発関係者向けの内容でしたが、ゲームユーザー側の方にもゲーム開発において必要なセキュリティ対策とはどんなものがあるのか、オンラインゲームのセキュリティ対策の大変さをお伝え出来たかと思います。

旭川のイベントで、このようなゲームセキュリティに関する講演は初めてだったとのことで、勉強になったという感想をたくさんいただけました。今回講演させていただけて良かったです。

いただいた感想の一例

  • こんな内容の講演が旭川で聞けること自体が初めてだったので非常に勉強になった
  • 道外の企業と旭川市内の人との対話が広がりそうで有意義だった

本講演がゲーム開発に関わる方はもちろん、ゲーム開発の勉強をしている学生さん、お子さんがゲームをプレイされている方など、ゲームに関わる多くの方にとって有意義な時間を提供できていたら嬉しいです。

Worcu-petが果たす役割

Worcu-petは、ビジネス出張者のためのテレワーク施設でありつつ、ラックという企業の認知を広げる施策の一つです。しかし、そこに集う地域の企業や、首都圏からのビジネス出張者、そして旭川市民の皆さんとの交流地点となり、そこから産まれるイノベーティブな発想や、新しい事業のヒント、地域が抱える課題が解決へと向かうような一歩が、共に踏み出せる場所として機能しなければいけません。

旭川市の皆さんが長い時間をかけて、魅力的な旭川になるよう尽力してきたからこその「今」という地点から、次の世代へと繋げるために、今後も地域の皆さんと共に「安心・安全」で、豊かな地域を創っていけるようなイベントを行っていきます。

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