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こんにちは、新規事業開発部の稲森です。
街全体を見守る、総合的なセーフティ・サービス構想である「town/SmartX事業構想」実現に向け、日々奮闘しています。
ここ数年、気候変動の影響等による台風の大型化や、頻発するゲリラ豪雨等による洪水・がけ崩れの発生など、激甚な水害・土砂災害が頻発し、多くの方が被害に遭っています。これらの災害から各地域に住む方々の命や暮らしを守るために、最先端のデジタル技術を活用して防災・減災を実現することが期待されています。
今回は、デジタル技術を防災・減災に生かす際の課題と、town/SmartX事業構想で描く未来像、現在の活動についてご紹介したいと思います。
大規模化する災害と高齢者問題
日本は現在、超高齢化社会に突入しています。災害対策を考えるときに、高齢者への対応を抜きに考えることはできません。内閣府の中央防災会議・防災対策会議の資料によると、65歳以上の高齢者が犠牲になった割合が、令和元年の台風19号では65%、令和2年7月の豪雨では79%を占めています。高齢者は災害の被害者となりやすい、すなわち災害対策は高齢者問題でもある事が数字に表れているといえます。
すでに東日本大震災の教訓から、各自治体が高齢者や障害のある人等の避難の実効性の確保に向け、ハザードマップの整理や避難行動要支援者の名簿整理などが行われています。しかし、災害規模の拡大等もあり、今年の夏も多くの方が被害に遭っています。こうした現状を踏まえ、中央防災会議・防災対策会議では、市町村に個別避難計画の作成の努力義務化を求めています。避難行動要支援者のスムーズかつ迅速な避難を図るためです。
town/SmartX事業構想で描く未来像
デジタルの力で地域を守る
town/SmartX事業構想では、個別避難計画を確実に遂行できるようなサービスを提供することで、防災減災を実現しようと考えています。避難経路に影響を及ぼす河川の水位センサー、浸水想定地区の冠水センサー、土砂災害警戒区域の傾斜センサーは正しく動いているか、プラットフォームである「town」が日々監視しています。さらに、センサーから得られたデータはtownに蓄えられていきます。また、townを通じて、信号や各種交通機関等のデータとも連携することも可能です。
townに蓄えられたデータは、災害の危険性が高まった際に防災サービスに活用されます。例えば、あらかじめ設定した避難計画ルート上の状況を必要な方に適時にお届けするとともに、もし移動が困難な状況になれば新たなルートを提案します。必要な情報が、必要な人に受け取られているかは地域の方々と共有し、確実に伝えるよう取り組んでいます。さらに、townに溜まったデータを自治体とも共有することで、迅速で効率的な防災・減災・復旧対応に寄与します。
データ利活用による安心安全な街づくり
利用するセンサーは、誰でも設置できます。自治体によって設置する基本的なものに加えて、企業や団体、NPOや町内会等がセンサーを追加設置し、これらをサービスに組み込むことで地域の耐災害能力を向上できます。農家が作物を育てて市場に出荷するように、センサーから得られたデータをデータ取引市場等にて販売し、その対価により運用コストを下げ安価に運用することもできます。広域のデータを統合的に活用することで、更に高度な対災害サービスや他産業のサービス創出も期待できます。
このように、必要なデータを自ら作り出し、そのデータを用いてさらに高度なサービスを生み出していく。データ利活用によって、災害だけでなく地域で発生している様々な課題を解決する。そんな安心安全な街づくりを実現することが、town/SmartXが描く未来像です。
townの現在~全国3市町村にて実証実験実施中~
今年度から、town/SmartXが目指す未来像の実現に賛同いただいた自治体のうち、水害・土砂災害被害を課題とする3つの自治体(北海道旭川市、大分県姫島村、長崎県長与町)において、実証実験を開始しました。
コロナ禍の影響により設置計画は大きな影響を受け、全てのセンサー設置終了は、9月までずれこみました。がけ崩れを検知するためのセンサー予定地では、今夏の豪雨により既に土砂崩れが発生した後という事もありました。このように予定通りとならない所がありつつも、それぞれのセンサーを各自治体や地域の工務店などと協力しながら設置しました。
そうして設置した結果、降雨時の河川の上流水位と下流水位の変化の関係性など見えてきたものがある一方で、中には、故障率が高く連続使用に耐えないものや、性能がカタログ値に満たないセンサーの存在も見えてきました。また、得られたデータを自治体様とも共有し、データ表示のインターフェースや必要なデータの分析なども開始しています。
現在の状況は、最終目標からはとても小さな一歩ですが、今後の社会実装にむけた大きな一歩と考えています。
2022年の活動に向けて
現在、2022年に最小限度のプロダクトによる商用サービス開始にむけ準備を進めております。
しかし、このような活動は、自治体の理解や協力があったとしても、ラック単独で成し得るものではなく、産官学の協力が不可欠です。既に、株式会社オールワークスとtownのプラットフォームに関する共同研究を、長崎県立大学とセキュリティ検証テストベッド構築に関する共同研究を開始するなど、単独ではなしえない部分を補い共創する取り組みを行っています。また、可能な限りその地域を知悉した人材が推進すべきという考えから地域採用にも取り組んでいますが、構想実現にはさらなる共感・共創が必須です。
この主旨に賛同いただける地域の公共団体や事業会社をはじめ、IoT機器やサービス提供に関心のある事業者や地域を良くしたいという意欲のある方々、私たちと一緒に「デジタルの力で地域を守る」活動をしませんか?
安心安全な街づくりを実現する同志を募っていますので、興味をお持ちいただけたらぜひお問い合わせください。
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