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話題の国際送金プラットフォーム「SWIFT」って何?

ロシアのウクライナ侵攻以降ニュースで取り上げられることも多くなったSWIFTですが、皆さんはどのようなものかご存じでしょうか?経済制裁関連の文脈で出てくるので、国際送金に絡む何かだということはわかるものの、詳細は不明という方も多いのではないでしょうか。今回はこのSWIFTについてお話したいと思います。

SWIFTとは?

SWIFTは「Society for Worldwide Interbank Financial Telecommunication」の頭文字を取ったもので、世界中の金融機関(主に銀行)が加盟して運営する協同組合の名称です。この協同組合が運営する銀行間ネットワークシステムもSWIFTという名称で呼ばれており、国際的な貿易や外為取引のための標準的な送金プラットフォームとなっている重要なシステムです。1日の取引量が3,800万件程度に上っていることからも、途方もない規模の送金を処理していることがわかります。

SWIFTのシステム

SWIFTのシステムは、SWIFTセンターと呼ばれる処理の根幹を担うコンピュータ(世界に数カ所あります)に、「SWIFTNet」と呼ばれるネットワークを介して世界中の銀行がつながっています。ある銀行から別の銀行宛に送金が発生した場合、送金元の銀行から送金先の銀行宛に送金情報が送られることにより送金が行われています。このSWIFTNetと銀行をつなぐためのシステムは、各銀行が用意する必要があります。

SWIFTを使った送金の仕組み

銀行を使った送金の仕組みは、出発点である送金者の口座保有銀行から、銀行間での口座の持ち合いをしている銀行(銀行相互間の為替取引契約を指す"コルレス関係"のある銀行といいます)を経由しながら、最終目的地である送金先の口座保有銀行(受取人の保有口座がある銀行)にお金が届く仕組みになっています。この銀行送金の仕組み自体は、なんとルネサンス時代のメディチ家が作った遠隔地間の資金移動の仕組みから、今もそれほど変わっていません。

しかし、国際貿易の活発化などで取引が増加するにつれて、銀行送金の仕組みとして非常に手間と時間がかかる作業になっていきました。そこで導入されたのがSWIFTです。SWIFTの登場により、銀行送金にかかる手間が減り、スピードも格段に上がりました。

SWIFTを使った送金の仕組み

もしSWIFTが使えなくなったら?

SWIFTは国際送金プラットフォームとしてデファクトスタンダードとなっています。このため、ここから特定の国の銀行が排除されてしまうと、その銀行を使っている企業や個人は貿易での支払いや代金の受け取り、海外への投資など国外とのお金のやり取り全般が難しくなります。他の国の銀行を使うなど代替手段がないことはないですが、手間、コストの増加など影響は大きいです。

その国との貿易を行っている相手国にとっても取引が制限されることになります。このため取引依存度が高い国や、エネルギーなどの重要な品目での依存度が高い国は同時に大きな影響をうけることになります。

どのような仕組みで使えなくするのか?

やり方はいくつか考えられますが、一番単純な方法としてはSWIFT側で処理してしまうものです。これはBICと呼ばれるSWIFT上の宛先から対象の銀行を削除してしまうものです。この方法であれば銀行側は大きな対応の必要がありません(BICディレクトリと呼ばれる宛先一覧の更新は必要です)。この方法を取る場合はSWIFTを一切利用できなくしてしまうことを意味しますので、そこまでは実施しないとなった場合は銀行側で対応が必要になります。

銀行で対応が必要になった場合の対応例

  • 銀行はSWIFT加盟行の中でも取引相手となる銀行に対して、RMAメッセージと呼ばれるメッセージを取り交わすことでお互いに相手行を認証して初めて取引ができるようになります。これを止める対応をします。
  • 通常銀行はAML(アンチマネーロンダリング)の観点から特定の企業や個人の取引を停止する仕組みを持っています。この仕組みを利用して対応することが考えられます。

さいごに

簡単にSWIFTの仕組みについてご説明させていただきましたがいかがだったでしょうか。
ラックではこのたび「SWIFT接続システム構築サービス」と銘打って関連する製品の導入など、SWIFTへの取り組みを支援するサービスを紹介しています。こちらもぜひご覧ください。

より詳しく知るにはこちら

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