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7/10に、私が個人的に参加している、視覚障がい者団体BLPC主催の「働く視覚障がい者の情報交換会」に運営スタッフとして参加してきました。視覚障がい者が仕事をする上で感じている課題等について、参加者の方&スタッフでディスカッションを行いました。その中から個人的に白熱したと思う内容をいくつか紹介してみたいと思います。「視覚障がいがあるとそういうところで困るのか」くらいに頭の片隅に入れておいていただけますと幸いです。
1.漢字って難しい
この記事の文章自体そうですが、メールを打つにしろ、オフィスソフトを使って資料を作るにしろ、日本語で文章を書く以上、漢字は避けて通れません。視覚障がい者の内、全盲(視力がほぼ0)の場合、このブログでも何度か取り上げている、スクリーンリーダー(画面読み上げソフト)を利用するのが一般的です。スクリーンリーダーを使うことで、たとえば以下のような内容で漢字変換についても読み上げをしてくれます。
外 → がいこくのがい そと
谷 → きょうこくのこく たに
渉 → こうしょうするのしょう わたる
- *上記はスクリーンリーダーの種類・設定によって変わってきます。あくまで一例とご理解ください
課題:
ここで上記の読み上げ内容をご覧になっていただくと分かるように、1文字に対して、読み上げる長さは1フレーズくらいになります。そのため、単純に読み上げる内容を全て聞いていると、一つの文章を書くだけでもかなりの時間がかかってしまうという課題があります。さらに、視覚障がい者の内、私自身もそうなのですが、小さいころから全盲の場合、漢字自体の授業を受けてこない * ため、正しい漢字に関する知識がどうしても不足しがちになります。
- *厳密には、特に現代では、PCの普及により、スクリーンリーダーを使って漢字交じりの文章を作成するような授業は実施されています。ただし、一方で実際、漢字を書くようなことはほぼ行われませんし、センター試験などでも点字受験の場合、漢字自体に関する問題は免除されるため、漢字の知識はどうしても一般の方に比べれば少なくなります
対応:
参加されていた方は、それぞれ異なる職場で仕事をされているため、それぞれの環境によって、以下のような対応や工夫が挙げられました。
- スクリーンリーダーには、漢字の読み方として複数パターン(分かりやすいところでは音読み・訓読みなど)での読み上げが行えるため、その設定を切り替えつつ、正しい漢字であるかを確認する
- Webで検索してみる
- 校正していただく
作業にかけられる時間や何のための文章なのかなどによって、使い分けることになるのかなと思いました。ちなみにこの記事の文章については、私の方で「とりあえず」気をつけて書いています。
2.紙の書類は読めない
課題:
言うまでもないと思いますが、文字が見えない程度の視覚障がいがある場合、印刷された紙の資料をいただいても、内容を読むことはできません。さらに参加者の方がお話されていた、「重要な情報になるほど紙のみでしか出せないと言われることが多く、重要な内容ほど確認しにくい」という件には、なるほど、と思いました。
対応:
この手の課題は以前から言われているものであり、その割りになかなか「これ」という解決が難しい問題と思っています。今回は以下のような情報交換が行われました。
- OCRによる文字認識はあまり実用的ではない
(新聞など一部のケースでは役に立つものの、大半の書類では大枠の理解はできても、本当にそれで良いかは別途確認が必要となる) - 電子データをいただけるのであれば、それが一番良い
- どうしても電子データが入手できない場合、図書館などで提供している対面朗読サービスを利用したり、職場のチームメンバーや担当の方などに読んでいただく
個人的には、いろいろな場面で資料の電子化が進むことを切に願っています。とは言え、写真や図表など、電子化されていても、読み上げできないものもあるので、最終的には人の目をお借りする部分は0にはできないのかなと思っています。
3.暇すぎるという問題!
「暇」と書くと「どういうこと?」「良いじゃん」といろいろご意見あるかと思います。しかし、実際問題として、今回の参加者の多くの方からも体験談としてお話があったのですが、入社したものの、その後、担当業務が半年・1年・2年という単位で存在しなかったという状況を、実はよく聞きます。特に初めて視覚障がい者を採用したというような職場で、「何ができるのかわからない」「何を任せたら良いか分からない」ということから、「仕事がない」という状態が長期間続いてしまうことになりがちというケースが多いようです。
課題:
- 職場に居づらい
- モチベーションが維持できない
対応:
私自身も、入社後しばらくは、時々、マクロを書いたり、スクリプトを書いたりするくらいで、かなりの時間を自由に(≒暇をして)過ごしていた記憶があります!今回は以下のような対応が挙げられていました。
- 勉強に当てる
- できそうな仕事を探して、提案書を作って、提案しまくる
- 外部の研修に参加した
- 任せてもらえた仕事をやりつつ、その幅を地道に広げていく
実際は、どれか一つということではなく、こういう場合、時間はあるので、いろいろな対応を考えつつやってみるということを繰り返すことになります。私自身の場合は、多くの時間を資格の勉強に使っていました(入社1・2年目で情報セキュリティスペシャリストを含め、ベンダー系の資格とあわせて6・7個は取ったと思います!)。
その一方で、地道に任せていただいた仕事の中から、自分が対応できる仕事を見つけ、その幅を広げて行くというプロセスを繰り返すということになります。
今回は、現在仕事をしている方が参加されていたため、直接該当する方はいらっしゃいませんでしたが、実際にはこの「暇な期間」を乗り切れず、主にメンタル的な理由で入社後数年以内に退職してしまうというケースもよく聞きます。この件は根深い問題であり、対応も容易ではない一方で、今後対応を進めていくことが重要なポイントであると思います。視覚障がい者自身のスキル面の向上や既存事例の共有・メンタル面のケアなどに加え、受け入れ側の職場に対する情報提供や支援などが必要なのではないかと思っています。
いかがでしたでしょうか。実際お近くに視覚障がいのある方がいらっしゃる方をはじめ、今後そのような立場になられることもあるかと思いますので、「こういう課題があるんだな」程度に記憶しておいていただけますと幸いです。
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