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業界震撼させた"2025年の崖"から4年、最新のDXレポートが発行
「2025年の崖」というインパクトの大きな副題を付けた経済産業省の"DXレポート"は、2018年の初版から4年が経過しました。その間もアップデートを続けており、2022年7月には4回目となる『DXレポート2.2』が発表されました。最新版は、日本企業のDX推進に向けてさらに踏み込んだ上で「デジタル産業宣言」を盛り込んでいます。
大企業だけでなく、中堅中小を含めたものづくり、製造業を基幹産業とする日本では特に、工場のIoT化を軸とする「第4次産業革命」をはじめとしたDXの波に乗る必要があります。DXレポートは、日本企業のDXを推進する目的で、経産省が指針としてまとめているものです。
初回のレポート「DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~」は、メインフレームをはじめとした企業が古くから運用している「レガシーシステム」がDXの足かせになっていると警笛を鳴らしました。DXレポートとの関係性は不明ですが、"崖"の1つの要因であったSAPのERP保守期限は2025年から2027年に延期されました。
崖まであと2年となりましたが、日本企業のレガシー脱却は進んでいるのでしょうか。DXの進み具合はどうなのでしょうか?もう少しスピードアップする必要があるようです。
経産省はその後もDXレポートを出しています。コロナ真っただ中の2020年には「DXレポート2」を、2021年には「DXレポート2.1」を発行しています。
コロナ禍では、三密防止のためにリモートにしたいものの、デジタル化が進んでいないためにできないという企業や組織が多くありました。押印のためだけに会社に来なくてはならない「はんこ出社」という言葉も聞こえてきました。ベンダーもメディアもDXの必要性を説きますが、DXの定義は曖昧さを含んでいます。そのため、既存のシステムを単にクラウドに移行すること、既存のプロセスをそのままデジタル化することもDXとひとくくりにして理解するケースも多くありました。しかしながら、これらは「変革」を意図するDXの「X」の意図にそぐいません。
そのような中で登場した今回の「DXレポート 2.2」では、Xの部分を進めることを、大きなテーマの1つにしています。
コスト効率中心のデジタル化にとどまる理由は?
前述した通り、XのないDXの例は、コスト削減や効率化を追求した単なるデジタル化にとどまるものです。時間や経済面でのメリットはわかりやすいため、既存プロセスをそのままデジタル化し、人のかかわる作業をデジタルに置き換えることによって得られる単純な意味での時間やコストの削減効果に視点がいきがちなのは理解できるものの、変革がない限り不十分です。
ただし、経済的コストに目を向けると、日本市場ならではの難しい要因もありそうです。例えば、ビジネス文化として値上げを許容しにくい市場であること、高品質なサービスを低価格で得られるのが当然という考え方が消費者にあることなどです。BtoB市場でも、ある外資系大手ソフトウエア企業の経営者が「日本は世界で最も値上げが難しい市場」と話していたのが印象的です。
良いものを高いコストを払ってでも取り入れ、しっかり使ってメリットを引き出していくというよりも、「現状と同じものを少しでも低コストで手に入れる」という考え方の方が強いと言えるでしょう。
DXレポートでも、企業はIT活用の目的として「既存ビジネスの効率化」を中心に捉えていることを課題として指摘しています。その上で「既存ビジネスの効率化は限界に近く、大きな効果は得られない。効率化であれば、品質さえ確保できれば、できるだけ安い方が良い」と企業の考えをまとめています。
さらに、このようなユーザー企業の考え方が、ベンダーとの「低位安定」の関係につながっているとも分析しています。低位安定の関係とはどういうことでしょうか?DXレポートの分析を見てみましょう。
ユーザーとベンダーの「低位安定」で既存ビジネスから抜け出せない
DXレポートが指摘するユーザー企業とベンダーの「低位安定」の関係とは、既存ビジネスを是とするユーザー企業と、仕様通りに作ることを重視するベンダーが、たとえ低リスク・低利益であっても、安定している現状のビジネス関係を継続しようとする状態を指した言葉です。
しかし、100年に1度と言われる産業の変革期において、低位安定では競争に取り残されるリスクがあります。
1つ前のDXレポート2.1でも、この低位安定の関係は問題視されていました。既存ビジネスの効率化を求めるユーザー企業は、ITをコストと捉え、仕様を作ってベンダーに競争させます。ベンダー企業は仕様通りに作ることに徹しているため、対価は労働量で測る「受託型ビジネス」を継続するというわけです。
DXレポートではそれを裏付けるデータをいくつか提示しています。1つが、日本企業のデジタル投資の割合です。デジタル投資を、現状維持の「保守運用(ランザビジネス)」とDXにつながる「バリューアップ予算」と二分した場合、「保守運用(ランザビジネス)」は76.4%、「バリューアップ予算はわずか23.6%となっています(2021年度、JUAS企業IT動向調査報告書2022)。ちなみに、「保守運用(ランザビジネス)」の比率は、2016年の78.8%よりは減っています。
経産省は日米のIT予算の用途も比較しています。用途のうち「ITによる業務効率化/コスト削減」は、日本は米国の2倍。一方で、米国は「市場や顧客の変化への迅速な対応」「ITを活用したビジネスモデル変革」「ITによる製品/サービス開発強化」「ITによる顧客行動/市場の分析強化」などについては米国が上回っています。
日米の比較としてもう1つ、デジタル投資とGDPの推移の曲線も示しています。米国がどちらも伸びているのに対し、日本はここ30年近く横ばい。2018年には、日本はデジタル投資額とGDP共に米国の4分の1以下になっています(ページ9、[参考]デジタル投資と日本のGDP)。
日米のIT業界の構造の違いとして、米国はIT人材のうち7割程度がユーザー企業に所属しているのに対し、日本はSIやITベンダーに7割/ユーザー企業は3割と比率が逆転していると言われます。内製化という言葉が聞かれるようになって久しいですが、すぐに人材を集めたり、育成したりすることは難しく、この構造でイノベーション体質に変えていくことが現実的でしょう。
個社では限界がある──「デジタル産業宣言」へ
DXの"X"を進めるためには低位安定から脱却する必要がある、というのがDXレポートの主張です。具体的には、3つのアクションを提示しています。
- デジタルを、省力化・効率化ではなく、収益向上にこそ活用すべきであること
- DX推進にあたって、経営者はビジョンや戦略だけではなく、「行動指針」を示すこと
- 個社単独でのDXは困難であるため、経営者自らの「価値観」を外部へ発信し、同じ価値観をもつ同志を集めて、互いに変革を推進する新たな関係を構築すること
経産省は、「低位関係の打破に向け、DX推進に向けた「行動指針」を個社から産業全体に広げ、同じ価値観を持つ企業同士が相互に高め合っていくような仕掛け(社会運動論的アプローチ)が考えられる」と説明しています。これにより、ユーザー企業とベンダー企業との関係を収益向上に向けた共創に変えていくことができると説いています。
そこで、デジタル産業宣言です。
図からお分かりのように、宣言の背景、目指す方向性、そして行動指針として、ビジョン、価値、オープン、継続、経営者と5項目があります。経産省はこのデジタル産業宣言を「経営者が自らの宣言として練り上げることを意図している」と説明しています。
つまり「私の」デジタル産業宣言として、経営者が自らの署名と共に、考えや信念を記載することを認めるようです。経産省がここまで「お膳立て」することから、その本気度が伝わってきます。
そして、宣言者である10人うちの1人に、ラックの最高情報責任者(CIO)である喜多羅滋夫氏の名前があります。喜多羅氏は次のように話しています。
「DXレポートの初版から4年が経ち、デジタル活用の先進的企業の事例が見られる一方で、なぜ多くの企業では現業の改善にとどまり、本格的な企業改革が進まないのか?研究会ではこの点を様々な視点から検討しました。その結果、いくつかの要因に焦点を当てて、まず委員が自分たちの決意を表明することで、なんとか共感の輪を産業界に広げ、日本のデジタル活用を昇華させていきたいという思いがあり、デジタル産業宣言という形になりました」(喜多羅)
9月策定の「デジタルガバナンス・コード2.0」とは
2022年9月13日には、経済産業省が「デジタルガバナンス・コード2.0」を策定したと発表しています。デジタルガバナンス・コードとは、2020年11月に、企業のDXに関する自主的取組を促すため、デジタル技術による社会変革を踏まえた経営ビジョンの策定・公表といった経営者に求められる対応を経済産業省が取りまとめたものです。2022年1月には「コロナ禍を踏まえたデジタル・ガバナンス検討会」を立ち上げ、デジタルガバナンス・コードの改訂に向けた検討を進めていました。喜多羅氏は「デジタルガバナンス・コード2.0は"デジタル産業宣言"と連携した取り組み」と指摘しています。
「デジタルガバナンス・コードは、企業におけるデジタル活用を統治していく上で必要な論点と基準をまとめたものです。初回の制定から、DX認定プログラムやSX/GX、また人材のリスキリングなど社会状況の変化と新たな課題に対応するために、今回の改訂となりました」(喜多羅)
改訂のポイントは、デジタル人材の育成・確保をDX認定の認定基準に追加したこと、経営戦略と人材戦略を連動させた上でのデジタル人材の育成・確保の重要性を明記したことです。さらに、DXレポート2.2の議論の反映する形で、企業の稼ぐ力を強化するためのデジタル活用の重要性を指摘し、経営ビジョン実現に向けたデジタル活用の行動指針を策定する必要性を記載しています。
また、経済産業省が東京証券取引所と情報処理推進機構と共同で選定する「デジタルトランスフォーメーション銘柄(DX銘柄)」の選定材料となるDX調査の調査項目について、今回のコードの改訂内容が反映される見込みとしており、今後発行する「DX調査2023」に内容を盛り込むとしています。
このように、経済産業省が旗を振る形で国がDXを推進する環境下において、企業の経営者や幹部は、自社のDXが効果的に進んでいるのかを今一度確認する必要があるでしょう。
プロフィール
末岡 洋子(ITジャーナリスト)
アットマーク・アイティ(現アイティメディア)のニュース記者を務めた後、独立。フリーランスになってからは、ITを中心に教育など分野を拡大してITの影響や動向を追っている。
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