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突出したITスキルを持った若者のチャレンジを応援する、ラックの「ITスーパーエンジニア・サポートプログラム “すごうで” 」。2013年度にスタートしたこのプログラムは、「IT関連の夢」を実現するための取り組みなら何でも、幅広くバックアップすることを特徴としています。
2014年度は、高校生を主体としたチーム「EpsilonDelta」(イプシロン・デルタ)を支援しています。EpsilonDeltaは、灘校パソコン研究部(私立灘中学校・高等学校、神戸市)を中心とする6人のチームで、CTF(セキュリティ技術を競い合うコンテストの総称)への参加を目的として結成されました。2014年度は、CTF大会の最高峰と位置付けられるDEF CONへの参加を目標として“すごうで”に応募。審査の結果、渡航費用などをラックが支援することになりました。
CTFの大会には、制限時間内に問題を解いて得点を競う「クイズ形式」のほか、対戦相手のサーバの弱点を攻撃しながら自陣を防衛する「攻防戦形式」があります。参加者には、セキュリティだけでなく、ネットワークやプログラミング、暗号解読など、幅広い知識と技術力が問われ、攻防戦ではさらに、敵の動きをにらみながら自陣の弱点をいち早く発見・解析し、攻撃される前にいかに弱点をカバーできるかといった駆け引きも必要となります。これが、Capture The Flag=「旗取り合戦」と呼ばれるゆえんで、経験の差が勝敗を分けることになります。
数あるCTFの中でも、毎年、米国ラスベガスで開催されるDEF CONは「ハッカーの祭典」とも呼ばれ、世界中から集まるハッカーが互いに腕を磨き合い、また、交流を深める場となっています。EpsilonDeltaにとっても、CTFへの挑戦を始めた当初から目標としてきた大会でしたが、「人気も難易度も高く、出場までの道のりは長かった」(チーム代表の矢倉大夢さん)と言います。
5月にオンライン上で行われた予選では、EpsilonDeltaを含む日本チームはいずれも本選に進めなかったため、EpsilonDeltaを含む強豪3チームで急きょ、連合チーム「binja」(ビンジャ)を結成。残された数少ない出場権の獲得を目指して、7月に韓国・ソウルで行われた「SECUINSIDE 2014」に出場し、無事、DEF CON本選への出場権を手にしました。
DEF CON本選は、現地時間8月8日から10日までの3日間、ラスベガスのホテルで開催されました。「競技中は様々なインシデント対応に追われ、何か対策を講じようとしてもなかなかそれに割く時間を取れず、悔しい思いをした」と矢倉さん。対戦相手から大量の攻撃を受けて自陣のサーバが応答しなくなったり、2日目まで使用していた鉄壁の防御システムが最終日に運営者側から強制的に削除され、巻き込まれて停止したすべてのサービスの復旧に追われたりと、3日間はめまぐるしく過ぎていきました。
初参加でもあり、「明らかに経験不足だった」と振り返りますが、先輩格ともいえるライバルチームと今回、タッグを組んだことは、「効率的なリバースエンジニアリング※の方法や、攻防戦でのインフラ管理の方法を学ぶことができた。来年までには(肩を)並べるくらいになりたい」と、十分な手応えがあったようです。
※ リバースエンジニアリング:与えられたソフトウェアを解析して、その構造・仕様を明らかにすること。
「すごうで」による支援に関しては、「渡航費や(ソフトウェア解析)ツールの費用は到底、学生では出すことができず、支援がなければ様々な世界大会にも参加できなかった。コンテストに集中する上で非常に助かりました」と話してくれました。
今後の目標ももちろんDEF CON出場。それも単なる予選通過ではなく、本選でいかに戦うかだと言います。「来年は少なくとも3位入賞を目標にしたい」。DEF CON初挑戦の経験がばねとなり、さらなる飛躍を予感させてくれるEpsilonDeltaの今後が楽しみです。
ラックは今後も、EpsilonDeltaに続く有能な若者を発掘し、才能開花のために惜しみない支援を続ける方針です。
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